2024年04月05日
大草直子さん
連載2回目のゲストは、ファッションエディター/スタイリストとして大活躍中の大草直子さんです。「ジェンテ ディ マーレ」で出合った銘品の魅力から、大人のおしゃれの可能性を広げるスタイリング提案まで、たっぷりお話を伺いました。
この時季になると、軽やかなスプリングコートの存在が気になります。もしも選びに迷ったら、“コンシャス(特徴的)なディテール”、“スポーティな要素”、“リッチな素材感”をキーワードにしてみてはいかがでしょうか。「ジェンテ ディ マーレ」で出合ったアスペジの新作コートは、流石、イタリアのファションブランド! 所謂スポーツブランドのものとは違い、ベーシックでありながらも、大人がエレガントに楽しめる要素がしっかり押さえられています。この春手に入れて、長く愛せるだけの実力も充分。早速、あらゆる角度からチェックしてみましょう。
――ライトベージュとカーキから大草さんが最終的に選んだのは、アスペジを象徴する深みのあるカーキ。細部にわたる秀逸なディテールに、ファッションプロも唸ります。
今回選んだフィールドコートは、ミリタリーの要素を都会的なムードで表現したアスペジらしい一枚。ミラノのメンズたちがダークスーツに纏うように、私もベーシックな黒のオール・イン・ワンに合わせてみると、やっぱりイメージ通り! こういうスポーティなコートをベーシックな装いに羽織ると、見た目も気分的にも “スピード感”が出るのです。そしてこの躍動感を支えるのが、優秀なディテールの数々。生地の分量を贅沢に使用したコートはラフに羽織るとマニッシュな雰囲気が漂いますが、ダブルファスナーやドロストコードで調整すれば、フェミニンなAラインシルエットも楽しめます。また、袖から背中にかけてシュリンクも施されているため、バックスタイルにもメリハリが生まれて華やか。なんといっても決め手は、リッチなタフタ調の光沢とハリ! この艶っぽさが大人の肌をきれいに、そして、着こなしをドラマティックに導いてくれるのです。
サイドから見ると、フロントからバックにかけて長さや生地の分量が計算されているのがわかります。また、ハリのある素材が袖から背中に入ったシャーリングにメリハリを加え、腕まくりもこなれた印象に。ファスナーを上まで締めれば、一気にモードな雰囲気。
フードは立体的に見えるほど、ラグジュアリー感が強調されます。しかもサンバイザー付き! 緻密に織り上げられたポリエステル地は撥水性があるため、急な天候の変化にも安心。ラグランスリーブのAラインシルエットだから、レイヤードもストレスフリー。
使い勝手のいいダブルファスナーは、下に大きく開くことでケープのようなシルエットも楽しめます。艶のある生地をたっぷり使ったバックスタイルの美しさも、コート選びの重要ポイント。ボトムの種類を制限しない膝下丈で、使い勝手も抜群です。
――イタリア・ミラノの郊外で、メンズのシャツづくりからスタートしたアスペジ。現在はイタリアンカジュアルの代名詞として、男女共にトータルウエアを展開しています。長きにわたってアスペジを知る大草さんに、ブランドの印象を伺いました。
メンズの流れを汲みながらフェミニンな要素も味わえるアイテムは、甘過ぎず、大人の女性がリアルに取り入れやすいものばかり。アスペジの服は決してわかりやすいモードではないのですが、必ず旬の要素がディテールに生かされています。シャツを例に挙げると、毎シーズン大きくイメージは変わらないのに、さりげなく襟や袖などのディテールで印象を変えてくるのです。なんでしょう、このセンスのよさ…。私はこういうイタリアブランドらしいものづくりが、とっても好き! この仕事をはじめてから長くお付き合いさせていただいていますが、いつ見ても新しく、一歩先を進んでいるイメージ。これこそ、イタリアンモードなのだと思います。
――大人の女性が即実践したくなるスタイリング提案にも定評のある大草さんから、アスペジのフィールドコートが映える、着こなしのヒントを探ります。
夜のディナーにも羽織っていけるくらいの華やかなテクスチャーを纏ったフィールドコートは、フラワープリントのシルキーなワンピースや、シフォンワンピースに合わせても素敵。もちろん、きちんとしたジャケットやカジュアルなスウェットアイテムとの相性も文句なし。それにカーキは、もともとグレーの要素が入っている色。ブルーのシャツやグレーのパンツにも、間違いなくなじみます。また、今季人気色のミモザやボルドーをワンポイントに加えても、ひと味違った華やかなコートスタイルに。仕上げにグラマラスなゴールドのジュエリーやパールを足せば、スタイリングもぐっと盛り上がります。カーキはどんな色にも合わせられる汎用性の高い色なので、活躍の場も多彩! 旬のスタイリングにも幅広く応用できるはずです。
――数多のセレクトショップと精力的にコラボレーションをしている大草さんに、
「ジェンテ ディ マーレ」の印象を伺いました。
今、仕立てのよさにフォーカスしたアイテムって、あまり見かけなくなりましたよね。素材、シルエット、縫製まで上質な服は、間違いなく纏う人を美しく見せてくれます。「ジェンテ ディ マーレ」は、上質を知る大人たちが信頼できる場所。セレクトショップというよりは、確かなヨーロッパブランドがコンパクトな空間にセグメントされている印象です。だから一点一点、ゆっくり袖を通してみたくなるのかもしれません。
大草直子
1972 年生まれ 東京都出身。大学卒業後、現・ハースト婦人画報社へ入社。雑誌の編集に携わった後、独立しファッション誌、新聞、カタログを中心にスタイリングをこなすかたわら、イベント出演や執筆業にも精力的に取り組む。WEBメディア「AMARC(amarclife.com)」を主宰。AMARC magazineの編集長兼発行人。インスタグラム@naokookusaも人気。最近メキシコに訪れ、より好きになったテキーラを極めています。