2024年05月20日
佐藤 匠さん
今回のゲスト、ファッションコーディネーターの佐藤 匠さんが「ジェンテ ディ マーレ」で迷わずセレクトしたのは、ナポリ発のパンツ専業ブランドの1本! 薄着シーズンのスタイリングの軸になると断言する佐藤さんに、その魅力を伺いました。
既製服からそれぞれの体型に合ったパンツを選ぶのは、日々アンテナを張り巡らせていても本当に難しい。それだけに、「これだ!」と思うものに出合えたら、そのブランドのものは毎シーズンチェックするようにしています。とはいえ、そう簡単に理想のものが見つかるとは限らず、気がつけばお気に入りのパンツを擦り切れるくらい履いて過ごすシーズンも(笑)。今回私が「ジェンテ ディ マーレ」でひと目惚れをしたブリリア1949のパンツは、セミワイドのワンタックストレート。このシルエットは日本人女性の体型にフィットしやすく、幅広い装いに溶け込む優れもの。早速、パンツ専業ブランドの気になるディテールからチェックしてみたいと思います。
――パンツづくりが盛んなナポリ発のブリリア1949は、レディースでは知る人ぞ知るブランド。リピーターの多さを物語る秀逸なつくりに、佐藤さんの目も思わず釘付けに!
私が理想とするパンツは、所謂、芯が入ったメンズっぽい仕立てのもの。これまで沢山のパンツを試してきて、辿り着いた結論です。イタリアンサルトの技術が結集したこのパンツも、思わず頬が緩んでしまうくらい本格的な技が随所に。例えばウエストバンドの後部に施されたV字の切り込みも、そのひとつ。このひと手間で生地にゆとりが生まれるため、あるとないとでは動きやすさも違います。また清涼感のある再生繊維が使用されているので、黒でも重たく見えず、履き心地もさらりとしていて涼しげ。程よい艶やとろみのある表情も、イタリアブランドらしい華やかと優雅な雰囲気を醸しだしています。
左/腰があたる中央部に1cmほどの切り込みを入れることで遊びが生まれ、座ったときもストレスなく、生地への負荷も軽減してくれる。右/日本人に多いフラットなヒップをより立体的に見せてくれる、パターンメイキングも圧巻。
――季節をスライドさせながら長く活躍できそうと佐藤さんが選んだのは、ニュアンスのあるブラック。体の動きに合わせてドラマティックに流れるシルエットも、エレガント。
私がパンツの試着で真っ先に気にするのが、腰からヒップにかけての吸い付き感と丈。履いたときにヒップのトップだけがあたっている感触が得られると、自分のヒップのトップ位置以上に高さが出せるので、バックススタイルもすっきり見えます。ワンタックによる適度な腰周りのゆとり、セミワイドシルエットの肌に着かず離れずの太さも、ちょうどいいバランス感。仕立てのいいパンツはベルトも映えますし、なにより装いに緊張感が生まれます。特にこれからの季節はトップスとボトムのワンツースタイルになるので、きちんと感のあるパンツはスタイルの核になることは確実! 私も普段から意識して取り入れるようにしています。
――ブランドからの依頼で、直接お客様にコーディネート提案をする機会も多い佐藤さん。日々のおしゃれが垣間見られるインスタグラムのフォロワーは、4万人以上にも。
エレガントにも、カジュアルにも応用できるパンツは、荷物を最小限に抑えたい出張や旅先にも万能です。このパンツは股上も程よくあるので、トレンドのクロップド丈トップスにもぴったり。また合わせる靴の幅が広いことも、パンツ選びの重要なポイントに。今日はオーバートップスでカジュアルにしたぶん、足元はあえてシルバーメタリックのポインテッドシューズでキレよくまとめてみました。もちろん、スニーカーとも好相性! このような仕立てのいいパンツは、年齢を重ねるほど活躍度が高いことを日々実感しています。それに結果長持ちするので、サステイナブル! 大いに投資する価値がある銘品だと思います。
佐藤匠
新卒で入社した大手商業施設にてセレクトショップのディレクション・バイヤーを務め、
2019年よりファッションコーディネーターとして独立。
様々なブランドのスタイリングや商品企画を手がけている。
旅や食に関する情報にも定評があり、発信の場を広げて活動中。 最近は、「Leica」 を購入し、旅への興味が益々広がり中。