今回、秋冬の新作が揃った「ジェンテ ディ マーレ」のショールームにお迎えしたのは、女性誌や広告などで活躍するモデルの松田珠希さんです。昨年の夏、20年間キープしていたロングヘアをばっさり切り、約10ヶ月間、自らに休養を設けた松田さん。知的でアクティブで、どこまでも自然体…。そんな松田さんが今季気になった、スタイルの核になる逸品とは? 年齢を重ねながらますます輝き続ける秘訣と共に、前編・後編にわたって伺います。
お気に入りの20年選手のパンツを軸に、ネイビーのワントーンスタイルで颯爽と現れた松田さん。とびきりきれいな笑顔とハンサムな佇まいからは、唯一無二のオーラが漂う。※洋服は、松田さんの私物です
今回の休養は、私にとって大きな転機になりました。モデルの仕事をはじめて約20年。全力疾走で駆け抜けてきた今だからこそ、好き勝手をする時期をつくることに。
手始めに、ヘアスタイルをショートに。日焼けもして、ひとり旅にも出て、思い切った断捨離もしました。そうしたら、自分のスタイルの核となるものがより明確に。そのひとつが、シャツです。仕事柄もあって脱ぎ着がしやすいトップスを着ていることが多いのですが、改めて整理をしてみると、一度も袖を通さなかったものも…。そんな反省も踏まえ、今、私のクローゼットにあるのは着心地がよく、ベーシックでつくりが丁寧なスタメンアイテムのみ。今後はこれらをベースにアップデートしながら、長く愛せるおしゃれを楽しんでいきたいと思います。
シンプルでオチ感の美しいシルクブラウスは、ボトムインもアウトもできる絶妙なバランス。背部にはシャーリングが施されているため、表情豊かなバックスタイルが楽しめる。ブラウス¥92,400・パンツ¥49,500(税込み)
ヘアスタイルを変えたことで、シャツの着こなしにも少しずつ変化が生まれています。例えばこれまでは襟周りにヌケをつくるスタイルが主流でしたが、最近は第一ボタンまで締めた装いもお気に入りに。実はシルクブラウスは、これから積極的に取り入れていきたいと思っているアイテム。なぜなら年齢を重ねるほど、かっこよく着こなせると思うから…。
シルクブラウス特有の艶っぽさや洗練された雰囲気は、シャツにはない魅力に溢れています。このアスペジのブラウスは、大きな襟やシャーリングなど、旬のディテールも満載。また、日本人の肌になじみやすいオフ白も、とっても上品。これまで私が買う服の色といえば白か黒かネイビーが主流でしたが、オフ白や茶系も似合うようになってきたのは最近の発見! ほんの少し何かが変わったことで、自分のスタイルが更新されていくのって、本当に面白い。
シャツメーカーを出自にもつアスペジから、端正な襟付きのカシュクールワンピースが登場。秀逸な仕立てによって、一日中着用しても型崩れの心配なし。フロントは、ガウンを羽織っているようなニュアンス溢れるデザイン。ワンピース¥143,000(税込み) その他/私物
私のファッションのお手本は、ヴィクトリア・ベッカム! 特に、彼女が着こなすベーシックシャツと太パンツの鉄板の組み合わせが好き。パンツを腰ではなく、お尻で履いているかのようなスタイリングからは、自らのスタイルを貫く彼女の個性と芯の強さが感じられます。スカートやワンピーススタイルにおいても、決してボディラインを露わにしていないのに、不思議と大人の色気が漂っていて、スナップを羨望の眼差しで見ています(笑)。
今回アスペジでもう1点気になったのが、甘さを抑えながらもどこかグラマラスな雰囲気が漂うカシュクールワンピース。シャツの延長のように楽しめるデザインも、私好み。こういう端正な一枚こそ、彼女のように大人の雰囲気で着こなしたい。
チルコロの真骨頂となる転写プリントで、チェックの織り柄が表現されたセットアップ。革新的な技術に、松田さんの目も釘付けに。ジャケット¥90,200(税込み)
ふだんはカジュアルなスタイルも多いのですが、どちらかというときちんと感のある装いが好み。シャツやジャケットは羽織物にもなるので、常に持ち歩いています。それは旅先でも同様で、現地ではミュージカルや美術鑑賞などで歴史的建造物を訪れることも多いため、その場にふさわしい装いを心掛けるように。そうやって行動しているほうが自分自身の気分も上がりますし、不思議と所作も変わってくる気がして。そんなコスプレ感を楽しんでいる自分も結構好き(笑)。
チルコロのジャージージャケットは、極上の部屋着レベルの心地よさにもかかわらず、そういうことが無理なくできる服だと思います。柔らかい素材のものって着込むほどにぐずぐずになりそうですが、ここまできちんと仕立てられていると、そう簡単には崩れません。機内で着替える必要がなく、長期フライトにも最適です。
一見構築的なチルコロのジャケットも、纏えば驚くほど軽やかでストレスフリー。遠目からも視線を集めるきれい色の一枚は、シンプルゆえにコーディネートの幅も無限に広がる。ジャケット¥69,300(税込み)
おしゃれをして出掛けたくなる、そんな自分磨きの場所として、東京の「帝国ホテル」内にある「オールド インペリアル バー」は、まさに私のパワースポット。カウンター席に座ると一席一席にスポットライトがあたっていて、お酒もうっとりするほど絵になります。決して堅苦しいところではないのですが、場に合った服装でいることで自信にも繋がり、素敵な話が聞けることも多々。きれい色のジャケットをさりげなく肩から羽織ると素敵だろうなぁ、シルクブラウスも映えそうと妄想も膨らみます。また、仕事で着物を着る機会もあるので、和装のお客様が多いのもお気に入りのひとつ。 「帝国ホテル」愛を語りだすと止まらないのですが、スタッフの方々の言葉遣いや所作、一流のホスピタリティからも学べることばかり! ぜひ、足を運んでいただきたい場所です。
伸縮性の良いジャージー素材に革新的な転写プリント。チルコロの技術が詰まったセットアップ。※10月下旬発売予定
松田珠希
福岡県生まれ
ノーブルで端正な顔立ちからビューティー系を中心とした広告や女性誌に多数出演。現在は、資生堂「INOUI」の広告に出演中。また、プライベートでは趣味が<酒場のカウンターでひとり酒。おつまみは貝類が好き。>という意外な一面も。
Instagram → @tamakimatsuda11